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2024.07.25
業界コラム
「2025年の崖」?崖なの?何やら怖いんだけど。そのお気持ちもわかりますが、まずは「2025年の崖」、そして「2025年問題」と呼ばれる問題を把握しましょう。
「2025年の崖」とは、2025年を境に20年以上稼働する企業基幹システムの割合が増え、その保守・運用にIT関連の人材がとられてしまうため、本来企業を成長させるためのDXを行うことができず、国内で年間12兆円もの損失を生んでしまう、というものです。
2025年問題は2025年には人口の18%が75歳以上という超高齢化社会に突入することで派生する社会問題を示します。ふーん・・・というかたも多いと思いますので、もう少し具体的に解説します。
2025年の20年前といえば2005年。2001年にAppleのiPodが大ヒット、2003年にSkypeがサービス開始、2004年にはFacebookが創業しました。このあたりの時代です。世界を変えたiPhoneは2007年ですからまだ登場していません。当時のビジネスや生産管理の基幹システムは「メインフレーム」や「オフコン」と呼ばれ、企業内に設置されていました。ないですよね。・・・ギクッとしているかた、いませんよね。
この頃のシステムといえば、企業側はシステムベンダーに必要な要件(やりたいこと)を伝え、そのほとんどをベンダーが開発して納品しています。企業側の情報システム担当者であってもその中身はわからない。ベンダー側は使えそうなソフトウェアにカスタマイズを重ねてシステム要件を満たそうとします。使う企業側から見れば、どんな仕組みかはよくわからないけれど、データを入れれば結果だけは出てくる。いわゆる、レガシーシステムのブラックボックス化というものです。
それでも動いている間はいいのですが、もしもトラブルが発生したときに、企業側の唯一の窓口である情シス担当者が定年退職していたり、ベンダー側の技術者が高齢で退職していると、基幹システムなだけにとても困ることになります。すべてのシステムがレガシーシステムではなくても、一部の業務でレガシーシステムが残っているとそれだけでリスクになります。・・・ギクギクッとしてるかた、いませんよね。
さて、IT人材のリソースは本来、会社を発展させるDXに割かなければいけないのですが、ここで発生してくる問題は、その大切なIT人材をレガシーシステムの保守や修復に費やさなければならない、ということです。
企業としては、業務を止めるわけにはいかないから、発展性のないシステムに大量のお金をかけ続けるしかない。ベンダー側はこれまでのお客様に対応しなくてはいけない。そうして、日本中にそのような企業があふれます。
世界は発展し続けていくのに日本は同じ場所にとどまり、国力が衰退し、崖のように転落していく。そんなバッドエンドが、何も対策しなければ2025年には6割の企業で起こり、国内で計12兆円の損失になる―それが「2025年の崖」です。日本の国家予算は約100兆円。12兆円の損失は莫大です。
一方、2025年問題とは2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることを指します。2025年の人口ピラミッドを見てみましょう。
※出典:国立社会保障・人口問題研究所データより
この赤い人口構成の突出した部分がいわゆる「団塊の世代」ですね。2025年には赤色で示す後期高齢者人口が18%に達します。超高齢化社会が引き起こす社会問題は以下のものがあります。
考えれば当然の帰結なのですが、どれもなかなかヘビィです。企業においては、今後、ますます働き手が不足してきます。女性や高齢者の社会参加を期待してもこの差はなかなか埋まりそうにありません。
また、現在の経営者層が事業継承をしようとしても統計的にはそれを受け継ぐ生産年齢人口が少ないため、事業継承ができない企業も出てきます。そうすると経済の縮小、国力の荒廃へと向かいます。
この問題を運送業界に絞って見ましょう。運送業界では、トラックドライバーの高齢化が進んでいます。現在のトラックドライバーの主力は40~54才の層で45%以上を占めています。一方、29才以下は10.1%ですから、若者にとって魅力的な職業に見えていないということが類推できます。
トラックドライバーに限らず、運送業界での若者の就労を向上するには、まずもって賃上げ、長時間労働の解消、荷待ちやバラ積みなどの非効率化回避、再配達削減など待遇・労働環境の両面から改善しなければなりません。今すでに人手不足感が押し寄せていますから、それも特急で。
「2025年の崖」への対応はそれぞれの企業が独自で対応しなければなりません。「2025年問題」の対応として国策で行っているのは少子化対策、社会保障の見直し、DX推進です。・・・が、2025年って来年の話です。少子化対策は間に合うわけがありません。結局どうするか。その答えは、
ひとつだけハッキリしていることは、来年いきなり爆発的に労働人口が増えて問題が解決することは100%ない、ということです。頭数が足りないのなら、自動化するしかありません。レガシーシステムは、いつか誰かが現行システムに置き換えなければなりません。奇しくも、「2025年の崖」も「2025年問題」も解決方法は同じDX化でした。
もう、あまり余裕はありません。帳面を持ってるのならタブレットに。電話かけて聞くことはクラウド閲覧に。荷造りや荷積みは機械化に。時間管理や進行管理はITでムダなく。ただし、手を付けるのはできるところからでも、その前に先を見通したスコープは立てておかなければなりません。
そして真っ先に意識改革をしていかなくてはならないのは、経営層のみなさんです。新しいシステムはむずかしそう、現場は新しいやりかたに抵抗がある、コストがかかる―それはその通りですが、やらなければ会社の効率は上がらず、企業の魅力は減少し、人手は集まらず、パックリ開いた崖に飲み込まれていくしかありません。この問題の怖いところは、今やらなくても明日すぐには困らないところです。しかし、人材は有限で減少し続けています。
企業には少ない人手で同じサービス・効果が求められ、それに成功した企業だけが人を集めることができる、という現象がこれからは加速していくでしょう。それでは、どうすれば良いのか?その方向性が経産省のDXレポートに示されています。それは、「複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現する。」というものです。
ここから先は、業界に深く根ざしたプロにお聞きください。もりや産業は物流業界を中心にずっとこの問題を取り扱ってきました。小さな自動化から、大規模なDX化まで、あらゆる業態に合うソリューションを一緒に悩み、考え、実現します。
人口減少局面では、このようにいろいろな軋みが社会問題として出てきます。それを補う形の外国人技能実習制度はうまくいきませんでした。いまのところ有効な手立ては自動化・DX化しか見当たりません。ここまでくれば、あとは「やるか、やらないか」です。とっても踏み出しにくいその一歩、どうかもりや産業と一緒に踏み出して頂ければと思います。いつでも、お気軽に、ご連絡をお待ちしております。