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2024.07.29
業界コラム
アメリカで2020年5月ロックダウンの解除に伴い新築住宅需要が大幅に増加、原材料の木材が不足により高騰したことに端を発し、世界的に木材価格が高騰している現象です。アメリカでの新築住宅許可件数は2015年を100とした場合、2021年1月の指数は170。(経産省資料)需要は大幅に増加しています。さらにコロナによる製材所生産量の低下、世界同時のニーズと生産減要因による需給のアンバランスが原因で木材価格が高騰。それは現在も続き、沈静化の見通しは不透明です。
物流業界においても木材パレット・木箱梱包の材料費を中心にその影響が少なからず及んでいます。今回のコラムではその対処方法と一歩進んだソリューションをご提案します。
統計としては最新の2020年パレット生産統計を見ると、材質ごとの製造パレット数割合は木製パレット60.2%、プラパレ23.7%、紙製パレット3.0%でした。[(社)日本パレット協会調べ]金属パレット3.1%とほぼ同量でシートパレット2.5%を上回る生産量ですが、全体で見るとまだまだ木製パレットが多くの割合を占めています。しかし10年前の統計、2010年における木製パレットの生産割合は79.5%でしたから、木製パレットが占める割合は少なからず減少してきていると言えます。
ではなぜ、木製パレットからの置換が進んでいるのでしょうか。それは、木製パレットは安価で繰り返し使用ができる反面、デメリットも多く存在するからです。その点を以下に解説します。
保管スペースが必要
木製パレットは繰り返し使用が前提です。そのため工場や作業所内に保管スペースが必要になりますが、その容積は小さくありません。蓄積量が大きくなれば荷崩れなど安全面の配慮も必要になり、管理者の設置も行わなくてはなりません。
・廃棄物区分の変更
木製パレットは2008年に一般廃棄物から産業廃棄物に区分変更されました。産業廃棄物処理業者でなければ処分できず、処分費が必要で処理費用は増加傾向にあります。
・廃棄時の負荷が高い
廃棄の詳細については自治体ごとに異なりますが、多くの自治体ではゴミ処理装置の投入口に入るよう、一定の大きさ以下へ破砕・切断することを求めています。釘は処理前に除いておくことが求められ、廃棄時の大きな負担となっています。
紙製パレットはウッドショックの影響が大きい現在、コスト面から木材パレットの代替品として注目されています。重量も木材パレットと比較して約1/3~1/4で、強度面でも十分な性能があります。海外輸送で求められる燻蒸処理も必要なく、世界に通用する輸送方法です。また、紙製パレットなら捨てるのも比較的容易なので、木製・プラスチックパレットと比較して破損時の一時保管、廃棄負担も大幅に軽減されます。
このように多くのメリットがあるため輸出業、製造業中心に、水濡れを伴わない現場、ワンウェイ使用が可能な現場で紙製パレットへの置き換えが進んでいます。
このような問題点解消のためにも、ウッドショックを契機に木製パレットから紙パレットへの置換は有効な手段です。紙パレットは廃棄が容易なため保管場所を必要とせず、経年変化による汚損や腐敗もなく衛生的です。
段ボール材等のリサイクル技術が世界中で確立された今では、材料摂取のための森林伐採がなく廃棄時のエネルギーや負荷も小さい紙パレットはSDGsの観点から見ても有効な物流サポートアイテムだと言えるでしょう。
パレット以外にも、SDGsを推進する便利な紙製梱包材があります。そのいくつかを簡単に紹介しましょう。まず、代表的な紙梱包材といえばPPバンドなどの結束から商品を保護する「エッジボード」です。
エッジボードはL型になっているので、製品のコーナーに当てて保護する用途が一般的ですが、実は多くのバリエーションがあります。サッシなどで使われるコの字型、上下で円筒を挟んで保護する形状、その他に黄/黒ストライプの注意喚起用もあります。カット加工は、自社工場で行っていますので、お客様の荷物に合わった長さで納入できます。現在が木製ワンウェイ使用なら一気に梱包効率化とコストダウンを推進することができます。
その他の紙製梱包品としては、荷物どうしの間に挟んだり、段積み時に使用する「ハニカムボード」や角形紙管形状の中に縦方向に円筒紙管を入れた桁材、「パルラン」などがあります。これらの紙梱包材を効果的に使うことで、梱包効率の向上と廃棄時の負荷低減を同時に果たせます。ウッドショックの今は、梱包方法の見直しを行うよい契機とも考えられます。
・APPAパレット(紙製パレット)
APPAは欧州発、世界数十カ国の拠点(企業)で製造されるグローバルスタンダードを目指したブランドです。
サイズフリーなので、お客様のご要望サイズで紙製パレットを製造することが可能です。
・ハニカムボード
軽量で強度のある紙製板材です。中心区画の大きさが約8mmのハニカムコアを採用、強い衝撃や擦れから貨物を守ります。紙製なので廃棄もカンタン。必要なサイズにカットしても使えます。
・パルラン
パルランはコの字型の板材に紙管を入れ、上下から勘合した桁材です。紙管を使用することで約400kg/個の圧縮強度を実現。軽量で廃棄もカンタンです。
・エッジボード
板紙を積層し高圧プレスした、高強度な紙製角当て材です。圧縮強度が高いので荷崩れやバンド食い込みから製品をしっかりと保護します。優れたリサイクル性の証であるドイツ「RESY」マークも取得しています。
木製パレット、木箱などの梱包を紙製に見直すことはコスト・効率の利点以外にSDGsの観点から見ても大きな効果があります。世界中で段ボールのリサイクル方法が確立されている現在、紙製梱包品を使用することはSDGsの17個のGOALのうち12「つくる責任・つかう責任」/16「陸の豊かさも守ろう」(森林資源の保護)に大きく寄与するでしょう。
また、プラパレからの置換なら、15「海の豊かさを守ろう」にも貢献します。
もりや産業では、オリジナル紙梱包材製造から製品・出荷状況を踏まえての紙梱包製品提案まで、TSP(トータルパッケージソリューション)で最適な紙梱包のご提供が行えます。ウッドショックのこの機会に、お気軽にご相談ください。