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2022.09.01
業界コラム
突然ですが、産業廃棄物(特にプラスチック)の処理費は2000年と比較してどのくらいアップしたと思いますか?・・・正解は約2倍!です。
えっ・・・2倍!?と思われたかたも多いでしょう。そう、約20年で2倍に値上げされたものって、それほど多くはありません。タバコとか、ランドセルぐらいでしょうか。「タバコなぁ~」と思われたかた、その実感がそのままゴミ処理費用にも当てはまるのです。まずはデータで見てみましょう。
2000年の廃プラ費用は1m3あたり10,000円、統計のある2020年では19,000円、しかもこの廃プラ費用、これから述べる理由で近年もっと上がります。2022年の現在では約2倍を超えているかもしれません。「早く何とかしなくちゃ!」という気持ちもありますが、まずは背景的なところをしっかり抑えましょう。
以前、廃プラは主に中国へ輸出されていました。中国は廃プラを輸入し、それを資源として再利用しようという方策です。欧米・日本にとっては輸出する方が安上がりで、中国はプラスチック資源を安価に仕入れられるという考えでした。1990年代から廃プラの輸出量は増え続け、2012年のピーク時には総量150万トンにも達しました。
しかし、中国は国内での環境汚染を理由に、汚れたプラスチックの輸入を規制する「グリーンフェンス」政策を打ち出し、ついには2017年11月以降、廃プラの輸入を事実上ストップします。そのため、中国で処理ができなくなった廃プラは主に東南アジアへと流れますが、途上国でのリサイクル処理が適切に行われず、環境汚染が引き起こされていると指摘されます。
2021年1月バーゼル条約(COP14)において途上国への汚れたプラスチック輸出は規制対象となりました。つまり廃プラは自国で処理するしか道がなくなります。自然、国内の廃棄物処理場はひっ迫し、価格は高騰、それどころか引き取り不可の事態さえ発生してしまいました。
今年、2022年4月施行の「プラスチック資源循環促進法」で状況はさらに厳しくなります。この法律は、自治体、事務所、工場、店舗など多くが対象で、中でもスプーン・フォークなど特定12品目(主にコンビニ・ホテル・洗濯業)の使用量が年間5トン以上、廃プラ排出量が年間250トン以上の事業所は数値的削減目標の達成対象になります。
そのため、行政からの指導も厳しくなり、取り組みが不十分な場合には勧告・公表・命令等を行うことがあります。
ではどうすればよいのでしょう?
プラスチック資源循環促進法には減量目標の策定や分別収集・選別の高度化もありますが、物流業界で大きく関係するのは「製造業・販売事業者等による自主回収・再資源化促進」「排出事業者の排出抑制・再資源化の促進」です。その具体例を示しながら、さらにコスト削減も達成する方法を紹介します。
行政側が示す排出抑制・再資源化は「圧縮」「破砕・粉砕」「溶解」です。その中でも私たちにできるいちばん効果的な対策は圧縮減容、つまり「つぶすこと」です。なんだそんなことか・・・と思われるかもしれませんが、年間で実際100万円の廃棄処理コストを削減したとしたらどうでしょう。その事例を紹介します。
とある大型商業施設の廃プラ置き場はいつもいっぱいでした。週に一度はゴミ収集車を呼ぶ必要があり、入りきらずにあふれたプラごみは見た目も、衛生的にも良くありません。
引き取りに来てもらっても業者回収の容器はあまり入らず、空気を運んでいるようなものです。対策として導入したのはこの廃プラを約1/5まで圧縮し、小さくまとめる「圧縮減容機」です。
これまでは、1回のごみ処理車による産廃回収費は約2万円、月に5回の頻度でしたから月間で約10万円、年間では約120万円のコストが回収費として必要でした。
圧縮減容機導入後、ゴミの量を1/5に圧縮することで、月間2万円、年間24万円ですから、差額約96万円のコスト削減を達成しました。
メリットはまだまだあります。ゴミの量が1/5になるということはゴミの保管スペースも大幅に削減できます。見た目もスッキリしますね。さらに、産廃回収車の頻度が1/5になればガソリン使用、排ガスも1/5になります。スペースの限られた船舶で圧縮すれば、もちろん海洋投棄もゼロ。SDGsやCSRの面からも取り組みによるイメージアップが図れます。
もりや産業では事業規模に合わせて、圧縮減容機 パワープレスを3機種ご用意しています。
10トンの力でかさばるゴミを強力圧縮
ひもがけは縦4本、横1本のクロス結束
搬送用カート付きで女性も扱える簡単・安全設計
庫内水洗いOK
4トンの力でゴミを圧縮。ダンボール、缶も圧縮可
ひもがけは縦3本、横1本のクロス結束
搬送用カート付きで女性も扱える簡単・安全設計
庫内水洗いOK
手動でも400kgの力でゴミを圧縮。
φ420の広い開口部。市販70Lゴミ袋装着
ミニで圧縮後、さらにパワープレス40で減容化も
小さな設置面積で置きやすい形状
廃プラの国内処理はこれからも続き、海洋マイクロプラスチックの問題などの関心も高く、事業所への責任はますます高まります。いわば廃プラは放っておくと損をする、積極的に取り組むべき課題です。「ウチは重さで産廃回収しているからメリットが少し減るなぁ・・・」というお悩みには、物流をトータルでプロデュースするもりや産業ならではの産廃回収業者紹介も可能です。
逆風をチャンスに。これを機会に法規制をコスト削減というメリットに変えてみませんか。