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2022.03.22
業界コラム
船便での国際間輸送、特に輸出に使われるコンテナが不足しています。新型コロナウィルスの世界的な流行が発端となっているのですが、その原因にはいくつもの要素が関わっています。まずはその要素を解説したいと思います。
少し古い記憶になりますが、2019年に米中貿易摩擦が始まりました。トランプ大統領が対中貿易の関税を大幅にアップさせ、のちに米中間の関税アップ応酬になり、果ては「米中貿易戦争」とまで呼ばれたアレです。当時、消費者心理は冷え込み、企業は生産を控えるなど世界経済への影響も少なくありませんでした。
そのような背景のもと、2018年と2019年を比較すると世界のコンテナ生産量は以下のグラフのように約40%(39.79%)減まで絞り込まれました。(海事プレス調べ)世界のコンテナ生産量といってもコンテナのほとんど(約98%)が中国で造られています。コンテナ輸送世界ダントツ1位の中国と2位のアメリカが貿易戦争をしているのですから、コンテナ生産を担う中国が需要低下を見込んで生産量を絞るのも当然です。
2019年から2020年へも総合的に緩やかな減産が続き、やがて世界は新型コロナウィルスのパンデミックに直面します。
通常、港に到着したコンテナは内容物を取り出して2週間以内に返さなくてはなりませんが、世界各国の港がコロナで受け入れてくれない、コロナの影響で港湾作業員が不足する、といった原因でコンテナの滞留が始まり、さらにコンテナ船の減便が重なり、コンテナの流通がマヒし始めます。
コロナの影響はコンテナ流通のマヒだけでなく、世界的な巣ごもり需要も喚起しました。いち早く国内での蔓延状態を抜けた中国の生産能力はV字回復し、欧米では巣ごもり需要が伸び続けます。
コンテナの生産が絞り込まれ、さらに輸送用コンテナは欧米に滞留したまま、といった状況下で、膨大な巣ごもり需要に対する決定的な輸送能力の不足から2020年後半にはスポットの海上運賃が2~6倍へと跳ね上がりました。
この構図は現在も続き、世界で慢性的なコンテナ不足の状態が続いています。上のグラフでコンテナの生産量は増えていますが、この問題が解決するにはまだ時間がかかるでしょう。
それでも、必要となれば海外輸送をしなくてはなりません。ドライコンテナの決定的な不足による輸送費高騰は頭の痛いところですが、低温・定温輸送に使われるリーファーコンテナをドライコンテナとして活用する方法があります。これを「リーファーアズドライ」と呼びます。
冷凍品や野菜・果物などの生鮮食品は、低緯度日中での輸送中室温が70℃にもなるドライコンテナでは運ぶことができません。そのため、冷却装置を取り付けたリーファーコンテナが用いられます。ドライコンテナの床は木製ですが、リーファーコンテナの床には空冷用のエアが流通するため多数の溝があります。この床が継ぎ目のように見えることからリーファー(継ぎ目)コンテナと呼ばれています。
主に食材が運ばれるリーファーコンテナですが、日本の場合、食材は輸出よりも輸入されるほうが圧倒的に多いため、リーファーコンテナが国内の港に滞留します。このいつかは返さなくてはならないリーファーコンテナをドライコンテナの代用とすることでコンテナ不足の解決につなげる手法が「リーファーアズドライ」なのです。
では、これで解決!・・・かというと、いろいろと気に留めておくべきことがあります。まずは、リーファーとドライのコスト差についてです。ドライコンテナに比べて空調装置の付いたリーファードライは高くなるはずなのですが、国内滞留のリーファーコンテナは「いつかは返さなくてはならないもの」です。空で返すところをドライコンテナとして使用するのですから、タイミングが合えば海上運賃は安くなります。
つぎに、コンテナ内部の構造です。リーファーコンテナの床は断面がT字形状になっています。側壁には凹凸やラッシングレールがなく、天井もフラットなためドライコンテナのようにシュアリング(木組みによる固定)することがとてもむずかしい構造です。
そんなとき、小さな部品ながら荷物の固定にたいへん役立つのが今回ご紹介する「リーファーロック」です。アイボルトを締め込むことで、リーファーロック本体とナットプレートがTフロアーをガッチリとはさんで固定します。固定力は1個あたり1.5トン!専用工具の必要もなく、ベルトを使えば誰でもカンタンに固縛できます。
木による荷物固定は、壁側のひっかける加減がむずかしく、職人的な技量が必要になります。また、湿気や乾燥による収縮で外れてしまうこともあるでしょう。しかし、リーファーロックはその心配が全くありません。
・リーファーロック®
1.5トン/個の強力な固定力(1箱20個入り)で、リーファーコンテナ使用時のバンニング作業を簡素化し、作業時間と資材費の削減を実現します。
今回紹介したアイテムは、荷物固定業務上の利点以外にもさらに多くのメリットを含んでいます。
・人の技量にたよらない均一で高品質な荷物固定と安心感
・一人で作業が可能、作業時間も短縮でき大幅な作業効率化につながる
・シュアリングで使われる木材の節約とゴミを出さないスキーム
働き方改革や、SDGsにも直結するリーファーコンテナ用アイテムと「リーファーアズドライ」の活用で、みなさまがコンテナ不足の悩みから一刻でも早く解放され、より良い作業環境とスキームが持続されることを願っています!