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2023.08.29
業界コラム
2018年に映画化された池井戸潤原作、長瀬智也主演の「空飛ぶタイヤ」という映画、ご記憶にありますでしょうか。走行中のトラックからホイルごとタイヤが外れ、通行中の母子に激突。お母さんが亡くなるという、痛ましい事故から始まるストーリーです。
実は、類似する大型車(トラック・バス)の車輪脱落事故は、平成11年度からの統計上令和2年に最多となりました。平成23年は11件だったのが令和2年には131件発生と12倍に急増しています。映画のストーリーでは済まない、深刻な事故が実際に急増しているのです。
その原因は、タイヤホイールの規格がJIS方式からISO方式に変わったためと言われています。JIS方式の場合、車両左側のナットは逆ねじ=左締めです。ISO方式の場合は車両の左右に関係なく、右締めが採用されています。
仮に、ねじに緩みが発生した場合、JIS方式では走行するにつれて、ねじが締まっていきますが、ISO方式では緩む方向に力が働きます。しかし、このことについての国交省見解は「関連性はまだ明らかになっていない」です。
上のグラフからもわかるように、脱輪事故は冬期に集中し、さらに関東以北で多く起こっています。これって、「冬タイヤに履き替えて、走行中にナットがなじんできて緩んだから?で、 JISなら勝手に締まっていくけどISOの場合は・・・」と私、一個人は思うんですが、国交省の見解は少し違うようです。簡単に言えば「初年度登録から4年以上経過した車で多く起こっているから気をつけて。」と「ドライバーじゃなくって、プロの整備士がタイヤ組み付けてる?」ということです。確かに登録4年目以降で脱輪事故は増えています。しかし、古い車のタイヤが外れやすいのなら、じゃあ何で登録9年目以降は脱落が減っていくの?と思うんですが・・・。
原因はともかく、事故数の増大は現実です。対応策として国交省は2022年10月1日から「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を開始。みなさまのお手元にも通知が来たかもしれません。そしてついに、2023年には国交省から大型車でタイヤの脱落事故を起こした運送企業を行政処分の対象とする通達が出ました。10月1日から施行とのことです。処分内容は以下の通り。
「不適正なタイヤの脱着やホイールボルト・ナットの保守管理を怠ったことで車輪脱落事故を起こした運送事業者に対しては、道路運送車両法に基づく行政処分を行う。初違反は20日車、再違反は40日車の車両使用停止とする。また、3年以内に事故を2回起こした運送事業者の整備管理者に対しては同省が解任命令を出す。」
・・・JISからISOへ制度変更したことによる結論は出ないままですが、万一、事故が起きれば保守管理を怠ったということで、行政処分や解任命令が課されてしまいます。
まるでどっかの映画のような話ですが、事故は起こさないのがいちばん!実は、大がかりな点検システムや管理体系の整備も不要で、コストもそれほどかからずに脱輪事故を防いでくれる夢のようなソリューションが、もりや産業にあります!これから紹介しますので、ぜひご覧ください。
まずは、実物の写真をご覧頂きましょう。この写真のように、2つのナットをつないで緩みを防止し、トラックの脱輪を防止する用具が、もりや産業開発の「セフティホイール」です。これまでにも、ナット間を樹脂のバンドでつなぎ、その角度や形状の変化で緩みを確認するインジケーターなどはありましたが、ホイールナット自体を固定するツールはこれまでにありませんでした。「セフティホイール」は装着するだけで緩みを防止する画期的なツールになります。
取り付け方は、簡単です。まずはトルクレンチでホイールを正しい力で組み付け、ナットごとに個別の固定パーツをナット前面の段差が出るまでしっかりと奥まではめ込みます。ナットそれぞれに固定パーツをはめ込んだら、2つの固定パーツをつなぐ本体パーツもしっかりと奥まではめ込み、装着完了です。
固定パーツの外周に細かく刻まれた歯が、ナットの姿勢にかかわらず本体パーツでの接続を可能にしています。装着したら、このときに忘れずマジックでマーカー線を引いておきましょう。基本的に「セフティホイール」は装着するだけで緩みを防止しますが、緩みや外れるなどの異変があったとき、線のズレで一目でわかります。また、定期的に本製品を外してトルクレンチで締め付け点検も行ってください。本製品はISO、新ISOにのみ対応可能です。
もりや産業では振動試験も実施しています。こちらは動画でご覧頂くのがわかりやすいでしょう。通常の車両で起きる振動10~20Hz(1秒間に10~20回の振動)だけでなく、30Hzの場合で10分間試験を行っても脱落・緩み・亀裂等の異常はありませんでした。
事故統計を見ると、脱輪は95%が車両左側の後輪で起きています。これは、日本の左側車線走行とかまぼこ型の道路断面形状が深く関係しているものと思われます。
日本の左側通行において、トラックが左折するときには旋回半径が小さくなるため左後輪に多くの負荷がかかります。また、右折するときには遠心力の関係で外輪側、つまり左側に多くの負荷がかかります。また、道路の断面形状は主に排水のために中央が盛り上がり、路側に向かって傾斜形状となっているため、まっすぐ走っていても常に左側の車輪に負荷がかかっています。これらが総合し、時間を経ることで左後輪への負荷は蓄積されていきます。
「セフティホイール」は目立つ色で「着いている/外れている」がよくわかります。そして、前述のマーカー線で異常がないかどうかも一目でわかります。そして特に、左後輪に注目して点検を行ってください。ぱっと見るだけの短時間で、「セフティホイール」は安全管理できる長所をもっています。
一見しただけではわかりにくい大型車両のナットの緩み。あっ、と気づいたときにはもう遅い・・・ということにならないためにも、ぜひ「セフティホイール」の採用をご検討ください。JISからISOへ、緩む要因は増えていると思います。重大事故は事業所の存続に深刻な影響を及ぼしかねません。もりや産業は、日本の「大型トラック脱輪事故ゼロ」の実現に貢献したいと本気で考えています。