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2024.04.02
業界コラム
精密機器輸送と来れば、エアサス車!まぁ、そうなんですが、そんなに簡単でもありません。エアサス車は無事に精密機器を運ぶための、ひとつのソリューションに過ぎません。最も大切なのは、どこに破損の危機が潜んでいるかといった危機予測、そしてその回避技術を保有しているかです。精密機器輸送と聞いて、いろいろなトラブル事例や、留意点、いわゆる「勘どころ」が次々と思い浮かんだあなた、さすがです。
精密機器輸送は人、会社によるノウハウの差が大きく出ます。そのノウハウを記載したこの記事を読んで、みんなで共有し、会社全体のレベルアップを図りませんか!?
精密機器に代表される、半導体製造装置やロボット、医療機器。輸送にあたって、その装置がどれほどデリケートなのかを知っておくと、おのずと輸送品質も向上します。簡単な例をいくつか挙げましょう。
例えば印刷機。オフセット印刷機は重くてゴツい複雑な金属の塊のような装置です。長さも10m以上から20m近いものまであるでしょう。その中を、120マイクロメートル(120μm =0.12mm)程度の厚さの紙がまっすぐ、水平に通っていかなくてはなりません。地震があれば、印刷所では、まず無事に紙が「通る」かを確認します。
半導体製造に関係する「金型」を製造する工作機械は、プラスマイナス3~5μm(0.003~0.005mm)の精度で加工します。この精度では金属膨張を避けるため、室温を20℃に保った部屋で加工するほどです。輸送にもかなりのデリケートさが要求されます。
半導体そのものの回路線幅は、最先端のラピダスが2nm(0.000002mm)を目指している、とニュースで報道されています。
もっとも、これは半導体製造装置がつくってくれるんですが、その装置で使われる搬送ロボットの精度は推して測るべきです。そんなロボットをガン、とぶつけたりしたら・・・想像したくありませんね。では、安全に運ぶポイントは何か。その内容について以下に記載します。
精密機器輸送中の破損が起こったとき、直接的な原因の多くは振動や衝撃でしょう。しかし、その振動や衝撃は予測できなかったものでしょうか。もとをたどれば、「養生が不足していた」という根本的な原因が最も多いのです。
そして、人によって差が出るポイントの筆頭が、養生についての確認と危険予測です。まずは確認不足から防いでいきましょう。基本的な養生はすべて施されているか確認したなら、輸送についての全工程をクレーン、フォーク、車両などシーンごとに細かく思い浮かべ、その時にありがちな振動や衝撃を予測し、この養生でよいのか、と自問自答します。
経験が大きく左右するところですから、ベテランによる社内での講習など、知識・ノウハウを共有する仕組みを持ちましょう。ひとりでは見落とすことも、複数人で見れば誰かが気づくこともあります。下見やヒアリングには複数人で行く、というルールも効果的です。
落下や衝突も直接的な原因です。それを回避するのもノウハウですが、最も良い方法は計画を書類にして、落下や衝突が起こりにくい輸送かどうかを、多くの人が確認できる状態にすることです。その書類とは「作業計画書」、「工程表」、「車両配置図」で、主な記載内容は以下の通りです。
具体的なノウハウはここに練り込んでいきましょう。目を通した人から、別角度のアドバイスがもらえるかもしれませんし、それは事故防止のキモかもしれません。
たとえば、船舶輸送なら、コンテナなのかフェリーなのか。フェリーならコンテナを積むときの衝撃は発生しません。海外向け船舶輸送でリーファーコンテナを使用するなら、固縛に専用のリーファーロックを使用するなど、できるだけ多くの留意点を細かく書き込んでいきましょう。その丁寧さは、きっと荷主側にも伝わります。
破損事故の直接原因は振動・衝撃だけではありません。湿気や静電気も破損、故障の原因となります。遠い外国への輸送など、輸送中の温度差が大きく、輸送期間が長期にわたる場合は結露やしすく、電気的なショートを招く原因となります。輸送環境によって、温調車・リーファーコンテナの使用や梱包内に乾燥剤を入れておくなどの対策が必要になるでしょう。
もりや産業では長期輸送に効果的な乾燥剤や静電防止剤も多数取り扱っていますので、輸送に合った補助用品の提案が可能です。お気軽にお声がけください。
実は、作業者によるバラツキにはかなり大きな振れ幅があります。日本貨物航空株式会社が行った実験では、丁寧な作業と通常の作業で1.5~13倍も衝撃に差があったと記載されています。
このように数値化されるととてもわかりやすく感じます。そして、バラツキの大きな荷物の取り扱いを丁寧なほうへシフトするための効果的なツールとして、「落下・衝撃検知ラベル」「転倒・横積み検知ラベル」があります。
どちらも、衝撃や転倒があったときにラベル中央部の色が赤に変わるものです。万一の破損事故の際、輸送中に衝撃があったかどうかが明瞭にわかります。
また、輸送関係者に注意喚起や慎重な操作を促す効果もあります。このようなラベルについても、衝撃ランクや取り扱い注意点などがありますので、お気軽にもりや産業にお問い合わせください。
それでも破損事故は起こるかもしれません。その時に対応できるように、しっかりした保険がかけられる環境の整備と、荷主への丁寧な説明を心がけましょう。荷主側視点では、保険の内容が充実しているかどうか、保険額の明示はされているか、費用のバランスが大切な確認事項となります。
・1.5トン/個の強力な固定力(1箱20個入り)
・バンニング作業時間の軽減
・ラッシング作業の簡素化
・固定資材費の削減
・標準コンテナやHQコンテナにも使用可能
・高い固定力で安全性向上
・カンタン取り付けで時間とコスト削減
・1名で作業が可能
・寒暖・気温の影響を受けない
・コンテナ内壁面の状況に影響されない
・シリカ、クレイの5~7倍以上の吸湿性能
・保水剤にポリマー使用で環境に優しく安全
・吸湿力が強く経済的
・吸湿状態がゼリー化の感触でわかる
・優れた持続性、即効性
腐食性、結露のおそれがない
・落下・衝撃を検知すると赤く変化
・輸送従事者に注意喚起
・事故に備えた過剰梱包を低減
・貼り換えによる不正を防ぐ
・転倒・横積みを検知すると赤く変化
・輸送従事者に注意喚起
・事故に備えた過剰梱包を低減
・貼り換えによる不正を防ぐ
いかがですか。エアサス車があれば何とかなる、というような状況ではないことを伝えることができたでしょうか。経験・ノウハウが大きなカギとなる精密機器輸送ですが、知識の共有化や有効な器具・ツールを使用することで、事故回避の確率はグッと高まります。
ぜひこの機会に、もりや産業のノウハウもお使いください。精密機器輸送に関する具体的なご要望をお寄せくだされば、もりや産業が考える最適解のご提案も可能です。精密機器輸送はデリケートでハードルの高い輸送ですが、その輸送は、会社全体としての輸送品質向上にきっとつながります。