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2024.09.19

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大型包装とは?大きい荷物を梱包する方法を紹介

包装や梱包と聞くと、商品や荷物を保管したり輸送したりするために、資材を使ってまとめることが頭に浮かぶ方が多いでしょう。実際に、フリマアプリの利用時やプレゼントを郵送する際などに、商品や荷物を包装・梱包した経験がある方もいるかもしれません。

一般の方が何か包装や梱包を行う場合、対象物は比較的小型で軽量な物がほとんどでしょう。しかし、企業となるとそうは限りません。大型製品を取り扱う企業は、大きい荷物の梱包も行う必要があるためです。
この記事では、大型包装の概要や種類、事例を解説します。

大型包装とは(大きい荷物の梱包)

大型包装とは名前の通り、梱包資材を使って大型の機械や車両などを保護する方法です。屋内・屋外の両方に対応できるように保管するため、汚れや傷だけでなく、雨風や紫外線からも製品を保護できるように梱包します。

大型包装の後はトラックや船に物品を乗せて輸送しますが、中には海外へ輸出するケースもあるでしょう。海外輸出は国内輸送と比べて移動距離が長く、積替え回数も多くなりがちです。輸送中の破損や荷崩れを防ぐためにも、適切な包装を行う必要があります。

大型包装の種類は大きく分けて「大型シュリンク梱包」と「大型養生梱包」の2つです。これらの梱包方法は、記事の後半で詳しく解説します。

「包装」の定義

包装とは、商品や荷物といった物品の輸送・取引・保管に関して、価値を下げず良い状態を維持するために適切な資材や技術を使って包む作業です。物品の輸送に限らず、さまざまな目的に対して包装作業は行われます。

なお、包装は「個装」「内装」「外装」の3種類に分けられます。物品それぞれを包装するのが個装で、物品を衝撃や熱などから守るために内部に施す包装が内装、パッキングした状態が外装です。

梱包との違い

言葉として、包装と梱包を使い分けないケースも多く見られますが、両者の意味には明確な違いがあります。梱包とは、輸送を目的に物品を包装する作業のことです。荷造りという時もあり、包装の中に梱包が含まれています。

梱包方法でよく用いられるのはダンボール梱包で、比較的軽量な物が対象です。食品であれば、ラップやフィルムを使う真空梱包が使われます。
ダンボールでは強度が足りない大型機械の場合に用いられるのが、木枠梱包やスチール梱包です。鉄材や鋼材といった重い材料は、バンドル梱包という方法を使って梱包されます。

大型包装の主な対象物

大型包装を行う対象の物品は、主に大型重量物です。大型重量物を安全に輸送するためには、その物品に適した大型包装の方法を選ばなければなりません。
ここでは、大型包装を行う対象物を大きく3つに分けて紹介します。

車両

大型包装を行う車両は、普通自動車や大型自動車の他に、二輪車などが含まれます。
大型包装を行う際は、車両の大きさや重量だけでなく、陸輸か空輸かでも包装の素材や方法が変わります。これは、陸輸であればそこまで重量を考慮する必要はありませんが、空輸の場合は車両の重量が輸送費に影響するためです。

プラント設備

プラント設備とは、多様な機械が組み合わさって作られる生産・製造設備のことです。具体的には石油から作る製品、電気やガスのエネルギーなど、生活に欠かせない素材や資源を指します。
石油製品を製造するのは石油化学プラント、原油から灯油やガソリンを精製するものが石油プラント、電気を作るのは電気プラントと種類はさまざまです。

生産・製造設備がある大規模な工場を表す言葉でもあるプラントですが、上記のプラント設備も大型包装を行う対象物となっています。

大型機械

大型機械も大型包装の対象です。大型機械は主に、建設・工事現場で用いられる車両系建設機械(重機)が挙げられます。具体的にはブルドーザーやフォークリフト、ロードローラーなどが重機です。

大型機械の中には、数多くの小さな部品から製造される精密機械も含まれます。大型のものであれば大型デジタルプリンターや人工透析装置、CT・MRI、放電加工機といった工作機器など種類はさまざまです。
大型の精密機械はより内部の造りが複雑であるため、包装時も慎重に扱わなければなりません。外装だけでなく、内装も十分に施すようにします。

大型シュリンク梱包(大きい荷物のシュリンク梱包)

ここでは、大型包装の一つである大型シュリンク梱包の概要を見ていきましょう。

大型シュリンク梱包とは、防錆効果のある厚手の気化性防錆剤シュリンクフィルムで物品を包み、専用のガスバーナーを使いシュリンクフィルムを熱収縮させて密着梱包する方法です。「シュリンク」には「収縮」という意味があります。

シュリンクフィルムと包んだ物品を密着させることで、汚損や湿気を防ぎ、屋外での保管や長期間の輸送にも耐えられるようになります。また、大型シュリンク梱包は密着梱包のため、屋外でも雨水が入り込みにくいのも特徴です。梱包で使用するシュリンクフィルムは、数多くある種類から包装する対象の特徴やサイズに合わせて選びましょう。

選べるシュリンクフィルム

通常サイズの物品でもシュリンク梱包は行われますが、大型包装であればそれに対応したシュリンクフィルムを使用します。大型シュリンク梱包で使える主なシュリンクフィルムは以下の通りです。

ドクターシュリンクフィルム

Dr.Shrink社が製造する大型シュリンクフィルムです。主に大型機械や車両を輸送・保管する際に使用しますが、耐久性が高いため物品の梱包以外に、改修工事の養生や野外イベントの雨よけなどにも利用されます。

ミルコアシュリンクフィルム

コーテック社が開発した米軍仕様の大型シュリンクフィルムで、屋外でも5年間の耐久性を保つ非常に丈夫な防錆性能を備えています。基本的には、軍事用車両や機器の輸送・保管に使用されますが、大型で重量のある機械類の梱包にも対応可能なシュリンクフィルムです。

VpCI-126 HP UV シュリンクフィルム

屋外の厳しい環境でも紫外線を防止し、多種金属の防錆が可能なコーテック社製のシュリンクフィルムです。透明性が高く、梱包した状態でも外側から内部を確認できます。

大型養生梱包(大きい荷物の養生梱包)

大型包装のもう一つは、大型養生梱包という方法です。養生とは物品やそれを運搬する際に周囲の汚損を防ぐため、布やテープなどで保護する作業を指しますが、大型養生梱包も同じように物品を包みます。

大型養生梱包を行う時は通常の養生テープではなく、耐久・耐候性の高い防錆機能がある大型のシートを使用します。

大型シュリンク梱包と大型養生梱包のメリット

従来の大型包装と比べて、大型シュリンク梱包と大型養生梱包にはどういったメリットがあるのでしょうか。ここでは、大きく3つのメリットを解説します。

屋外でも長期保管ができる

屋外に保管する場合でも、長期保管が可能な点が大型シュリンク梱包と大型養生梱包のメリットの一つです。屋外保管では錆を抑えることが重要ですが、大型シュリンク梱包では気化性防錆フィルムなどが使われているため、屋外での防錆対策になります。

また、高い防水性・防塵性も備わっているため、雨風や雪に対しても安心です。包装に使う素材の強度も高く、汚損の他に傷や破損も防げます。

梱包・保管費用を削減できる

屋外での長期保管は、雨風や汚損を防ぐ対策を取り、場合によっては保管のために大型の倉庫を準備しなければなりません。このため、屋外での長期保管はコストがかかります。
しかし、耐久性が高く厚手で丈夫なシュリンクフィルムやシートで包装することで、屋外保管用の倉庫やメンテナンスが不要となり、コストを削減できます。

また、大型シュリンク梱包と大型養生梱包は、他の包装と比べて工数が少なく包装素材にかかる費用も抑えられるため、トータルでのコスト削減が可能です。

施行時間を短縮できる

前述の通り、大型シュリンク梱包と大型養生梱包は工数が比較的少ないため、大型包装で時々使用される木枠梱包よりも施行時間を短縮できる点もメリットです。

大型の物でも形状に関係なく施工できる梱包方法であることから、準備の手間もほとんどないといえます。

大型包装で用いられる他の方法

よく用いられる大型包装の方法は、先に紹介した大型シュリンク梱包と大型養生梱包の2つです。この他にも、大型包装として使われる梱包方法があります。

木枠梱包

すかし箱やクレート箱といった、木製の箱に梱包する方法が木枠梱包です。ダンボール箱では強度が足りない大型機械などで、長期間の保管や通気性の確保が必要な物品を国内輸送する際に用いられます。

現在では、木枠梱包を用いて行っていた大型包装を、大型シュリンク梱包や大型養生梱包に切り替えるケースも出てきています。この切り替えによって、木材を使用することなく包装作業が行えるうえに、時間やコストも抑えられるためです。

フレコンバック

樹脂でできた大型の布の容器に、吊り上げ用の頑丈なベルトが付いている袋です。フレコンバッグは略してフレコン、あるいはクロスコンテナバッグなどとも呼ばれます。

フレコンバックは、フォークリフトやクレーンを使って吊り上げて運搬でき、輸送や保管、仕分けにも対応可能です。製品の他、原料や廃棄物の輸送にも向いています。

大型包装の事例紹介

大型包装を実施したケースとして、大きい荷物の梱包をダンボール以外で行った事例を3つ紹介します。

大型プラントの海外輸送

海上輸送を行う場合、従来の木枠梱包では大型プラントの包装が難しかったため、ビッグサイズ対応のドクターシュリンクフィルムを使用し、大型シュリンク梱包を実施しました。これにより、木枠梱包を行う場合と比べて施工日数、コスト共に大きく削減できています。

タンカー用設備

ローディングアーム(タンカーから液化天然ガスなどを陸揚げする際に使用する設備)の予備機を保管するために、大型シュリンク包装で設備全体を丸ごと包装したことで、専用倉庫の建設を行わずに済みました。

鉄道

鉄道を海上輸送するため、車体を雨風や海水から保護するためにシートで覆いたいというケースでは、表面と裏面で異なるシートを使用したようです。表面には雨風や紫外線を防ぐシート、裏面は傷が付くのを防止する柔らかいシートを選び、車体を保護する方法で海上輸送しました。

まとめ

大型包装は大型機械や車両、プラント設備といった大きく重量がある物を、輸送したり保管したりする際に行います。強度が高いダンボールや木枠梱包を使用するケースもありますが、よく用いられる方法は大型シュリンク梱包と大型養生梱包です。

それぞれの梱包では使用できる素材も変わってくるため、商品や荷物をどのように保管・輸送するかで、適切な素材を選ぶようにしましょう。