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2024.10.11
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2024年度も後半に突入したいま、くだんの2024年問題はどうなっているのでしょう。たしか、何も対策しなければトラック輸送力が14%ダウンして、到着遅延や配送不能などの問題が巻き起こって・・・いませんね、表面上は。
トラックドライバー残業上限960時間、確かに施行されましたよね。こちらはまだ年度末(2025年3月?)まで期間がありますから本格化するのはこれからでしょうか。ともあれ、令和米騒動の時のような「どこにもない」「玄米でがまんしよう」といったみんなが困るレベルの不具合は起こっていないように思えます。
読売新聞の10月初旬記事でも、政府は「目立った問題は起こっていない」という見解を示しています。一方、「問題が顕在化するのはこれから」「残業許容時間の先食いをしているだけで、年末に欠けて事態が深刻化するのでは?」という意見もありました。
ではなぜ、問題は起こっていないのでしょうか。こちらも同記事から「モーダルシフトが進んだから」「AIやDXが推進されて、荷待ちなどの待機時間が減ったから」などの回答が出ていますが、そんな一気に先進的にはなっていないように思います。
もちろん、多大な努力をなされて大きく効率化、時間短縮、働き方改革の推進をされた企業もあるでしょう。過日、JR貨物検証の問題がその後の配送に影響したところを見ると、 モーダルシフトも、DX化も一定浸透していると思います。でも、私個人の感想ですが、それらに加えて、各社のかき集めた努力の結晶が大きな問題が起きるのを防いでいると感じます。その努力のひとつ、「パレット納品(パレット物流)」に今回はスポットを当ててお話しします。
パレット納品(パレット物流)とは、バラ積みの状態ではなく、パレットに積載した状態での出荷、荷下ろしを行う物流形態です。街中での集荷や個人宅への宅配では到底無理ですが、BtoBの企業間取引なら、パレットでの積載、移動、納品、保管を行うことで大幅に効率は向上します。
国交省が2023年9月に発表した「物流革新に向けた政策パッケージ」の中でも、物流の効率化として取り上げている項目に「即効性のある設備投資の促進(バース予約システム、フォークリフト導入、自動化・機械化等)」、「物流標準化の推進(パレットやコンテナの規格統一化等)」があります。
このように政府もパレットでの輸送を重要項目と位置づけ、推進していますが、それほどパレット物流は効果があります。パレット納品(パレット物流)を視野に入れるためにも、まずはパレットそのものから見てみましょう。パレット納品で使用するパレット形状には以下のものがあります。
フォークリフトの爪を差し込むことができる、平板上のパレットです。多くは木製ですが、上下に板があるもの、上面にのみ板があるもの、プラスチック製のもの、そしてワンウェイ(片道)輸送で多く使われる紙製のものがあります。
フォークリフトの爪を差し込むことができる、平板上のパレットです。多くは木製ですが、上下に板があるもの、上面にのみ板があるもの、プラスチック製のもの、そしてワンウェイ(片道)輸送で多く使われる紙製のものがあります。
液体や粉体、お米などの袋物など、特殊形状のものを大量かつ定期的に、効率よく輸送するために、他にもいろいろなパレットがあります。周囲に支柱が立ったポストパレット、液体を運ぶタンクパレット、粉体を運ぶサイロパレット、袋物を運ぶシートパレットなどです。
次に、パレット納品のメリットを具体的に紹介しましょう。手積みからパレット納品となった場合の効果は劇的です。以下、具体的に紹介します。
パレット納品の一番のメリットは効率化です。仮に10トン車へ手積みで段ボール箱を積み込んだ場合にかかる時間は2時間、荷下ろしにも同様に2時間程度かかります。これをパレットとフォークリフトで行った場合は、荷積みに30分以内、荷下ろしにも同様に30分で合計1時間。4時間と1時間では全然違います。
上記の例で、2時間の手積み作業としましたが、実際にやるとなるとたいへんです。荷積み、荷下ろしの他に本来の業務である長距離輸送が加われば、いかに丈夫な人でもクタクタになります。
しかもドライバーの高齢化は進んでいます。転じて、パレットでの荷積み、荷下ろしはフォークリフトで行いますから、体への負荷は軽微です。ドライバーへの負荷軽減の面でもパレット納品(パレット物流)は大きな効果があります。
パレットに積まれ、ラップが巻かれた積荷は基本的に積載、荷下ろし時に衝撃が加わりません。パレットへの積載、ラップ巻の時には荷物に触りますが、それでも、トータルとして荷物に触れる回数は減りますし、ラップで巻くことが荷崩れ防止や保護になります。
また、破損などの事故があった際、何度も手作業がある場合は、どこで破損が生じたのかがわかりにくくなりますが、パレット納品(パレット物流)ではその確認も比較的容易です。
パレットをいちばん標準的な1,100×1,100mm面積のT11(イチイチ)パレットにした場合、積載可能なボリュームがすぐに算出できます。例えば10トントラックの場合、2列×8台=16台のパレット積載が可能です。
物流の合い積みが進みにくい理由のひとつに、各社が、どんなボリュームや形状で来るのかがわかりにくい点があります。各社がイチイチパレットの底面積からはみ出さなければこの予測は容易に立ちます。入荷先、出荷先、保冷等の条件が似ているライバル会社の共同配送も可能になり、コストダウン・効率化を図ることもできます。
このような利点をもつパレット単位での輸送を、パレチゼーション、パレット物流、パレット輸送と呼びます。しかし、日本は、パレチゼーションがなかなか進んでいません。オーストラリア99%、ヨーロッパ90%、日本より10年後発の韓国でも55%がパレチゼーション輸送ですが、日本では30%程度です。ではどうしてパレチゼーションは普及しにくいのでしょう。その原因について次の項で解説します。
メリットが大きいパレット納品(パレット物流)ですが、始めるには準備や環境整備が必要になります。また、運用に際しても解決しなければならない問題が起こります。これをデメリットと取るか、将来への投資と取るかですが、まずは具体的な懸念点を上げていきましょう。
パレット物流ではフォークリフトは必須です。バッテリーフォークリフト、エンジンフォークリフト、リーチフォークリフト(作業車が立って使用するコンパクトフォークリフト)などいろいろな種類があります。
中古車も多くあります。また、フォークリフトの運用には資格が必要です。講習修了証(フォークリフト免許)は、普通自動車免許を持っている人なら、講習料金4万円程度31時間の教習で取得できます。(試験合格必要/合格率は95%程度。)
これまでにフォークリフトがなければフォークリフトの購入費またはレンタル費、パレット費用、またはパレットレンタル費、パレタイザー(積み付け機)、ラップ包装機などの費用が必要になります。
パレットでの保管ができ、フォークリフトによって出し入れできるサイズの倉庫と、フォークリフトの動作エリアが必要です。事故防止のためにもゆとりを持ったスペースが望ましいと考えます。
単純にパレットの体積分、トラックへの積載率が低下します。天井スレスレまで手積みで積んでいた荷物は1回の輸送で運べなくなります。さらにパレットからはみ出してるなどパレットへの積載が前提とされていない荷物の場合は、パレット間にすき間が発生してさらに積載率はダウンします。
現在、トラックの積載率は40%程度(国土交通省「自動車輸送統計調査年報」より)といわれていますが、パレット物流を前提としたパッケージの設計見直しも今後は大切になります。積載率を高めるためにパレットの段積みをする場合は、段積みに対応した機器や道具が必要になります。
そして、かなりむずかしい問題が、このパレットの回収です。これは、少し長くなりますので次に解説します。
日本でパレット物流、パレチゼーションが進まなかった最大の原因は、「出荷したパレットが戻ってこない」ためです。その昔、高度経済成長期ではひどく、3~5割は帰ってこないため、もっぱら自社倉庫内の移動用に使われていました。
時を経て現在、パレットは納品してもその上に商品が乗ったままですから、すぐに帰ってきません。使い終わるまで納品先で貯めておいてもらい、帰りに引き取って帰る(静脈物流)方法がよく見られます。
しかし、やはり紛失や目的外の利用は多く、その問題は今も続いています。がんばって物流全体のためにパレット納品を推進しようと思っても、これでは気持ちが折れてしまいますね。どうすれば、解決につながるのでしょうか。
国の施策として、1971年に東日本管轄として「日本パレットレンタル」(JPR)が、翌72年に西日本管轄として「日本パレットプール」がパレットレンタル業として設立されました。
自社でパレットを所有するという根本を変えることで、荷主はパレットの管理から解放されます。パレット紛失でガッカリ、イライラすることはなくなります。レンタルコストはかかりますが、アウトソーシングする利点は大きいでしょう。
これもまた、潔い方法です。もう、回収なんてスパッとやめて、紙パレットで納品して終了!パレット物流、パレチゼーションを達成しながら、悩みゼロで解決です。荷受け側の理解も必要ですが、段ボールは古紙回収率95%以上、古紙利用率90%以上の優良素材です。
木製パレットを「そちらで捨ててください」と置いて帰ると産業廃棄物扱いとなり、有料処分ということもあって怒られますが、段ボールの紙製パレットを了解してくれる企業は、SDGsの観点からも多いと思われます。こちらは、荷主側と受入側の事前了解が必要となりますが、物流効率化も、SDGs貢献も、イメージアップも全部達成できます。
これまでの理由で述べたように、健全な物流環境の整備、2024年問題への対応、ひいては将来的な物流インフラの毀損を起こさないためにもパレット納品(パレット物流)は進めて行く必要があります。
しかし、パレット回収に悩んだり、パレット回収のためだけにトラック輸送を行うのは本末転倒です。もりや産業がおすすめする解決策・製品は、「オーダーメイド 紙製APPAパレット」です。通常の段ボールパレットに加えて、桁材に紙管「パルラン」を使用して強度を増し、加えて以下のメリットがあります。
耐荷重は木製パレットに若干劣りますが、紙製ですから、カットも廃棄も簡単。流通管理を全く気にせず、パレット納品が行えるAPPAパレットをぜひご検討ください。
・高強度で軽量
・水に強い紙管製の桁材
・サイズオーダー可能
・リサイクル性の高い紙製
・木材にも負けない強度
・多様な製品ラインナップ
・RESYマーク取得
・世界中での豊富な実績
・梱包作業の時間短縮
・輸送・保管時の安全性の追求
・環境負荷を下げる
今回の政府施策には本気感があります。たとえ今苦しんでも、未来の物流インフラを守るためには、働き方改革と物流の両立をやり通そうとしています。残業に年間960時間というキャップをかぶせて労働の健全性を図る一方で、DX、IoT、機械化、モーダルシフト(船や鉄道での一部代替輸送)といったあの手この手で、人口が減少しても物流インフラを守ろうとしています。
このまま、ドライバーに苦労を押し付けたままの物流では、早々に立ちゆかなくなる未来が見えているからです。スーパーに物が並ばない、棚の品はいつも鮮度が悪い、いつ物を納品できるかわからない、物資や燃料が行き渡らない――そうして、日本の1/4は事実上居住できなくなる――そんなバッドエンドにならないためにも、私たちは荷主、輸送業者、荷受け企業だけでなく消費者も含めてこの問題に今すぐ対応しなくてはなりません。
個別の解決方法は、もりや産業にお尋ねください。蓄積した豊富な知識と、体験から個々のケースに最適なソリューションを伝えさせて頂きます。