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2024.12.26

業界コラム

輸出しなきゃもったいない!② インバウンドとの関連と農産物の輸出重点品目とは?

 「輸出しなきゃもったいない!①」では、日本の農林水産物が味、安心・安全、健康の面で海外から注目されていること、人口減などから国内需要は先細りのため、政府は輸出を強力に推進していることなどをピックアップしました。今回は、農産物の輸出増とインバウンドとの関連と国の支援の元になる農林水産物の「輸出重点品目」とその支援団体を掘り下げて解説しながら、農林水産物の輸出について考えてみたいと思います。

爆発的に増加する訪日外国人。そのすべてがインフルエンサーになる!?

 まずは背景的な状況から解説しましょう。農林水産物の輸出金額が年々記録を更新していることは前回解説しましたが、今度はインバウンドの面からも見てみようと思います。

 下のグラフは訪日外国人旅行者数と出国日本人数の推移を示しています。

 ドーンと落ち込んでいる箇所はコロナです。そしてコロナ以前、訪日外国人客はすごい勢いで増加しています。そして、よく見ると出国日本人数はそれほど変わっていません。つまり、交通などが便利になった等の要素ではなく、日本が魅力的なのです。

 このグラフでは2023年までしか統計が掲載されていませんが、2024年、つまり今年は10月時点で累計30,192,600人(三千万人超)の訪日客が訪れています。今年10月はコロナ前の2019年10月と比較して32.7%増で単月過去最高、また、過去最速で3,000万人を突破した年になっています。ひとくちに3,000万人と言ってますが、日本の全人口が1億2,400万人ぐらいですから、あらためて驚異的な数字です。

 人気の理由はどこにあるのでしょう――異文化、清潔、治安がよく、おいしい、先進的、礼儀正しい、電車正確。理由は、いっぱいあります。その上少し円高側に振れたとはいえ、物価も安いとなれば、人気もでますよね。

 また、訪日外国人客がFacebook・YouTubeなどのSNSでも写真・動画などをアップロードするので、その宣伝も強力な後押しとなっています。

 伝えたいのは、今は「千載一遇の好機」ということです。巨額の資金を投入せずとも、全世界的に日本食のイメージアップ、ハイクオリティのイメージが醸成されています。毎年、ハイペースで増加し続ける訪日外国人客。

 そのほとんどが好意的なリポートを自発的にSNSへアップロードし、それを見た人々が、また日本を訪れるというアップスパイラル。このような状況下で、国内需要の余剰分だけを輸出するなんてもったいない!視点を世界へ、輸出へ切り替えれば高額でも喜んで買ってくれる人たちが無数にいます。

 あなたの産品、輸出しましょう!え?どこへ?何を?・・・ご検討ありがとうございます!そうですね、それでは商売の基本である「求める人に、求めているモノを」にもとづいてそのあたりを解説しましょう。

ところ変われば、好きなモノも変わる

 さて、「求める人に、求めているモノを」ということですが、これがまた、以外とバラバラなんです。アメリカ向け農林水産物輸出の第2位なんて「ぶり」ですからね。ではまず、ドン、と一覧データからご覧頂きましょう。

 ・・・けっこうバラバラですが、香港向け輸出の第1位は「なまこ」ですか。正直「なまこ」が輸出品目の第1位になることなんてないと思っていました。あと、アルコール飲料類も強いのですが、これはやっぱりアレですかね、ジャパニーズウィスキー。

 いやいや、日本酒、焼酎も人気です。中国向け第2位はホタテ貝で、前回の記事で伝えましたように日本産水産物輸入(中国側から見て)の解禁により、大幅な輸出額の伸長が期待できそうです。目立たないところですが、10位フィルピン向けの合板、製材も林産物分野として注目です。実は日本の合板技術、製材技術はたいへん高度で、製品も高品質なんです。木のいっぱいある国が輸入するぐらいに。

 また、果物の輸出も好調です。直近では、2023年の果物の輸出額ランキングも出ています。

1位 リンゴ(167億878万円)
2位 イチゴ(61億6,287万円)
3位 ブドウ(51億6,949万円)
4位 モモ(26億875万円)

 日本の果物の輸出量は年々増加しています。輸出の多い地域は、香港や台湾を中心に、タイやベトナム、シンガポールなどの東南アジア各国で人気が高まっています。特に香港や台湾では、ぶどうは中秋節などの祝日の贈答品として人気が高く、富裕層を中心に家庭用に購入されることもあります。

 同じアジア圏でも、国が違えば輸出品目も違います。ポイントはやはり「求める人に、求めているモノを」輸出することですが、これだけバラバラなら、「どこに何を売れば良いのかわからない」「輸出先を間違えて採算割れしてしまいそう」という声も聞こえてきそうです。でも、そんな心配は不要です。

JETRO(ジェトロ)とJFOODO(ジェイフード)

 あなたの産品が、どこに売れるのかはズバリ国が教えてくれます。具体的にはJETRO(ジェトロ)やJFOODO(ジェイフード)が力になってくれます。ここで、大きな力になってくれるJETRO、JFOODOについても知っておきましょう。

 JETRO(ジェトロ)とは、「独立行政法人 日本貿易振興機構」の英文頭文字を取った呼称で、1)貿易の振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施する。2)アジア地域での経済と関連諸事情を調査研究する。3)その研究と成果を使用して貿易の拡大及び経済協力の促進に寄与する、組織です。

 JFOODOとは日本食品海外プロモーションセンターの呼称で、日本産の農林水産物・食品のブランディングのためにオールジャパンでの消費者向けプロモーションを担う新たな組織で、2017年、JETRO内に創設された組織です。

 ともに今回のテーマにピッタリの機関ですが、ジェトロが貿易全般についての組織であることに対して、ジェイフードはその中でも、日本産の農林水産物の「輸出」に特化している組織です。いわば、JAPANブランドの農林水産物輸出特務組織です。ちょっとJFOODOのWebサイトをのぞいてみましょう。

 これこそ、ほしかった情報です。JFOODOのWebサイトの写真をクリックすればさらに詳細な情報が提供されます。このように専門機関を立ち上げて、民間ではむずかしかった統計情報を提供しているところから、国がどれほど産品の海外輸出に期待しているかが伺えます。
因みに、国は農林水産物輸出の関係閣僚会議の中でこのように述べています。

―――――――――――――――――――――――――
(JETROは)輸出産地の要望も踏まえた上で、輸出診断、海外市場情報の提供、個別診断、Webマッチングなど実情に応じたハンズオンの支援を貿易情報センター等を通じて行うとともに、(中略)ECサイトへの出品方法などのアドバイスを行う。
JFOODOはターゲット国・地域において海外現地の体制を強化し、拡大する海外市場の消費者向けに日本の農林水産物・食品の魅力を効果的に伝え、導入・消費につなげる役割を果たす。
―――――――――――――――――――――――――

 重い腰の日本のお役所がここまで立ち上がって旗を振っています。「ウチのコレ、どこに売れる?」という疑問は、まずはJETROやJFOODOの情報を詳しく知っている、民間支援機関に聞いてみましょう!

国の掲げる、輸出重点品目ってなに?

 輸出重点品目とは、「海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的な品目」のことで、以下表の29品目が選定されています。

 農林水産物の輸出重点品目に国は特に力を入れています。牛肉・豚肉などの畜産品は「日本畜産物輸出促進協議会」、りんご・ぶどう・果樹・かんしょ(アジアで焼き芋が大人気)などの青果物については「日本青果物輸出促進協議会」、切り花については「全国花き輸出拡大協議会」といった具合に各品目ごとに認定団体を設けて情報収集、現地でのブランディング、販路開拓、物流効率化などの輸出支援を行っております。支援内容の一例は以下です。

・日本青果物輸出促進協議会の支援内容
国産青果物及びその加工品の輸出を促進する
① 国内外での国産青果物等のPR
② 展示会・セミナー等の実施
③ 海外マーケティング調査
④ 産地間連携及び輸出環境整備等に関する検討会の開催
⑤ 国産青果物等の輸出事業者による輸出活動等の支援等を実施する。

 海外における販路開拓活動29品目それぞれに、品目の全体合計ではなく、品目×国別で輸出金額目標が具体的に設定され、しかも、その輸出先国それぞれにどのような施策を行うかが述べられています。

 国は生産関連団体と一体になって主に加工場や流通拠点を整備・拡充しようとしていますが、まだ大枠である感は否めません。それは、国や役所は生産者ではありませんので、いわゆる「勘どころ」がわからないのだと思います。

 お金も出して、支援もしたいけれど、国は何が必要なのかイマイチ、ピンと来ないのでしょう。生産者にしかわからない、「これがあれば」「こうしてくれれば」は、ぜひあなたの貴重な意見を伝えてください。

 また、輸出重点品目を取り扱っていないからといってガッカリすることは全然ありません。輸出重点品目は、もうすでに生産者が多数存在するフィールドです。むしろ、まだ世界が知らない日本製品にこそ、爆発的な伸びしろがあります。

具体的な農産物の輸出課題に取り組もう

 農産物の輸出に興味を持たれて、民間支援機関に相談し、出荷量を想定した活動を始めれば、同時に現実的な課題も見えてくるでしょう。それは、人手不足やコスト削減、輸送リスクの回避かもしれません。

 問題がここまで落とし込めてきたら、それは、私たちもりや産業がお手伝い可能なフィールドです。これまで、主に物流業界で活動してきた私たちには、省人化、効率化、リスク削減のノウハウがいっぱいあります。物流業界の人が知っている技術も、農林水産物の生産者には新鮮なノウハウかもしれません。

 箱詰め、梱包、フォークリフト、トラック、輸出関連治具、鮮度保持など物流関係の知識は農産物輸送にそのまま使えるものが多くあります。人手不足ならば、自動機で装置に働いてもらいましょう。コスト削減には機械化・効率化で、外部委託比率を下げましょう。鮮度保持剤による輸送リスク低減だってあります。

 このようなお悩みがあるのならば、もう歯車は回り始めています。あとは、お電話をもりや産業にいただければ、現場に応じたベストな解決策を提示いたします。

パレット貨物の荷崩れや果物の箱潰れなど
輸送中のトラブルを防ぐ、環境に優しい梱包資材。

パレット貨物を固定して荷崩れを防ぐ、
リーファーコンテナ専用の固定金具。

エチレンガスの吸着力に優れた、
野菜・果物・生花に使える鮮度保持剤。

軽量・燻蒸不要、送り先での廃棄も簡単。
輸出に適した紙製パレット。

現場の立ち仕事や冷えからくる足腰への
負担を軽減する。

まとめ

 私たちは、自国の農林水産物に対してもっともっと、自信を持ってよいのでしょう。「より良いものを、より安全・安心なものを」と年月を重ねてきた先人達の努力が、いま、大きく花開こうとしています。

 年間3,000万人以上訪れる外国人観光客が、インフルエンサーが、世界中のあらゆる人々が日本食、日本食材を取り上げ、そのほとんどが味と品質を支持しています。観光やSNSという一昔前では思いもよらなかった媒体とIT技術が、爆発的な情報を世界に向けて発信し続けています。

 そのことに気づいた政府は、法律を整備し、国費を投じ、国を挙げて世界に向けて売り出そうとしていますが、国の言葉をそのまま借りて言えば「輸出先進国に比べ、わが国はまだ緒に就いたばかり」です。

 これができるのは、実際に手を動かして働く、農林水産物の生産者しかいません。国内から世界へ、目を向ければ文字通りまるで違う世界がひろがっています。物流面でのサポートはぜひ、もりや産業にお任せください。私たちは全力でサポートします。