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2025.03.11
業界コラム
少し以前に、これから農産物を輸出するかた向けに記事を書きましたが、コンテナによる輸送が初めてのかたもいらっしゃるでしょう。今回は温度管理、雰囲気の管理ができるコンテナについてお話ししたいと思います。
コンテナの中でも一番多く使われているコンテナをドライコンテナと呼びます。その他に、温度管理や環境管理が行えるコンテナとしてリーファーコンテナ、CAコンテナがあります。
外観では、空調機が付いているのが特徴ですが、そのようなコンテナを見た人も多いと思います。船舶で輸出する場合、往々にして数週間から数ヶ月の日程がかかりますが、その期間に赤道を通過する場合もあります。
赤道付近を航行する場合、通常のドライコンテナ内の温度は50~70℃にも上ると言われます。金属部品や木材、粉末などでは影響ないかもしれませんが、食品や医薬品、精密電子部品などはこのような環境下では温度を一定に保っておかなければ、品質を保てません。
リーファーコンテナ、CAコンテナはドライコンテナ輸送よりも価格は高くなります。まずは温度管理の必要な積み荷を運ぶかどうかで、ドライコンテナとの使い分けをしましょう。そして、リーファーコンテナとCAコンテナはどのような差があるかについては、次の項で説明します。大切な積み荷を守るため、ベストな選択をしてください。
温度管理が可能なコンテナにリーファーコンテナとCAコンテナがあることを説明しましたが、どのような違いがあるのでしょうか。以下にリーファーコンテナ、CAコンテナの特徴を記します。
リーファーコンテナは温度管理ができるコンテナですが、管理可能な温度は最大で-30℃から30℃ぐらいです。保証範囲を-20℃~20℃までとする企業もあります。「冷えたまま長期海上輸送する」用途でいちばん多く使われるコンテナです。
-50~-60℃の極低温に対応したリーファーコンテナも存在します。こちらはもちろん、「冷凍で輸送する」用途で使われます。
リーファーコンテナの温度管理に加えて、雰囲気管理(環境管理)が行えるコンテナです。具体的には、コンテナ内に窒素を充満させて、酸化を防ぐ、果物の熟成を抑えるなどの用途で使われます。
適した積荷の視点でも、リーファーコンテナ、極低温リーファーコンテナ、CAコンテナそれぞれについて見てみましょう。
肉、魚介をはじめとする生鮮食料品、冷凍食品、冷凍加工品
日本酒・ワイン等デリケートな温度管理が求められるの酒類
定温輸送が求められる化学製品、医薬品、電子部品、精密機器、フィルム、美術品など。
沸点の低い(ガス化しやすい)液体
温度が高温になると発火・爆発するおそれのある危険物など、積荷のダメージに加えて高温となると危険を伴うようなもの。
青果、生花など、低温+窒素環境で育成が進まない(成熟が進まない)管理が必要となる積荷。
このように低温でのコンテナ輸送も、複数の選択肢があります。管理がむずかしい輸送になるほどコストも上がりますから、適したコンテナを選択してください。
リーファーコンテナの構造を理解するとバンニング(積み付け)についての留意点もわかります。まずは以下のリーファーコンテナ断面図をご覧ください。
リーファーコンテナはコンテナの周囲が断熱材で覆われています。ドライコンテナは壁面が木壁となっていますが、リーファーコンテナはアルミ材で、その内装アルミ材と外壁との間には断熱材があります。
リーファーがドライに比べて庫内が若干狭いのはこのためです。また、リーファーコンテナの床は特徴的な(断面がT字形の)Tレールで構成されています。この床に荷物を固定するには特別な部品「リーファーロック」が必要になりますが、それはもりや産業でご用意できます。
温度を保つ仕組みを説明しましょう。リーファーコンテナは前部に空調機(エアコン)を搭載しています。エアコンで冷やされたエアーはファンにより下方に送られます。下方に送られたエアーは床に当たり、Tレールの間を通って前方から後方へと送られます。
Tレール上部は溝計上の解放面になっていますから、冷却エアーはチューブのようにすべて後方へ送られるのではなく一部はレール溝から上昇しながら循環します。このとき、ダンボール箱を直接Tレール上に置くのは、冷却エアーの循環が悪くなる、設置面が少ないためダンボール箱が破損する恐れがある、という2点の理由から避けるべきです。荷物はパレット上に載せましょう。
温度帯流と冷気の押し出しにより上昇したエアーは循環してまた前方の空調機へと送られます。この時、空気循環を阻害しないようにレッドライン(積荷の高さ限界)を必ず守るようにします。そうしないと定温輸送に支障が出ます。
これまでに説明したように、リーファーコンテナは冷却エアーの循環が大切なポイントになります。そのため、荷物をコンテナ内にパンパンに積むことはできません。エアーの循環を妨げないように、パレットを使用してコンテナ中央に、レッドラインを越えないように積むことが大切です。
前方に寄せて積む、後方に寄せて積む、高さいっぱいに積む、などの積み方をすると定温輸送に支障が出ます。また、前後に分けて積むと、一見空気循環的には良さそうな気がしますが、前方荷物と後方荷物で温度のムラが出ますのでこれもよくありません。
コンテナ中央に固めて積む、が基本になります。海上輸送では陸では考えられない事態も起こりえます。台風により大きくコンテナが揺れるケースもあります。リーファーロックなどを利用して、しっかり荷物を固定してください。
このようにして正しくバンニングされた場合、その温度は目標値の±0.5℃以内で管理することが可能です。また、リーファーコンテナは時系列的に内部温度を記録した「データロガー」を搭載しています。積荷がコンテナの故障やその他の事故でダメージを負う場合はありますが、データロガーによりその原因を予測することができます。
荷物固定用ストラップベルト、バックル、テンショナー、リーファーコンテナ専用固定具などを取り揃えています。
リーファーコンテナのT字レールを利用して、特別な工具なしで簡単に固縛が行える部品です。
作業性・安定感に優れた、20tの積荷に対応するドライコンテナ貨物専用ラッシングベルトです。
紙製のエッジ保護材です。ベルトによる締め付けなどから製品を保護する、リサイクル可能材です。
果物、野菜から発するエチレンガス・VOCを吸着・分解を行うことで成熟を抑制し、野菜や果物の鮮度を保持します。
荷崩れ防止用ベルト、バンド、カバーに代表される再利用可能、簡単設置で効果が高い荷崩れ防止材です。
オリジナルサイズ製造が可能なダンボールパレットで、使用後は産業廃棄物ではなくリサイクル材として処理できる、画期的なワンウェイ向けパレットです。
リーファーコンテナ、CAコンテナを使用することで、遠く海外に向けての青果、生鮮品輸送が可能になりますし、その逆の輸入も同様にもちろん可能です。遠方だから・・・、空輸ではコストが合わない・・・などの理由に輸出入をためらわれているなら、このようなコンテナ輸送の可能性をお考えください。
リーファーコンテナ、CAコンテナはここに紹介した以外にも多くのコツやノウハウがあります。コンテナ輸送のことでしたら、もりや産業の提供する便利な輸送関連部品はもちろん、それ以外にも多くのノウハウを持つもりや産業に、ぜひお気軽にお問い合わせください。